
これまでは、「とにかく臨床検体を精密に解析したい」という想いから、そのための技術と体制を確立することに注力してきました。2017年に丸山が着任して、まずは臨床検体を用いたNGS解析やシングルセル解析を行うための技術と体制を確立し、次に患者由来試料からオルガノイドを樹立する技術を確立しました。この間、乳腺センターを筆頭に多くの臨床の先生方のご協力を頂きました。また森先生、八尾先生をはじめ、研究所のたくさんの先生方にご指導を頂きました。おかげさまで、現在までに多くのデータとリソースを蓄積することができました。また今年度から発がん研究部の田中主任研究員や高原研究助手に参画して頂き、発がんモデルをin vivoで詳細に解析できるようになりました。
各種技術とリソースが整い、いよいよ本格的な研究に挑戦できる体制になりました。今後、丸山研究室では『リバースTRのアプローチ』と『発がんモデルマウスの解析』の2つを軸とし「がんの本質」を追求していきます。特にがん細胞におけるエピゲノムの役割(ゲノム異常の機能表出にエピゲノムが果たす役割)とその時空間におけるダイナミックな変化を理解することで、細胞機能に多様性が生じる分子機構とその意義を明らかにしていきたいと考えています。そこにがんの本質があり、また生命の本質があると思っています。